スノー天国
2024.01.31

スノーシューで札幌市内の銀世界へ! 旭山記念公園でネイチャーガイドと一緒に雪上散歩!!

冬の人気アクティビティ「スノーシューハイキング」。西洋風のかんじき・スノーシューを履いて、雪に埋まった林の中やふかふかの雪原を歩く体験メニューだ。となると、まずは人里離れた雪山まで行かなければ……と思っていたら、札幌の中心部からすぐの場所でも体験できるという。ネイチャーガイドの宮川さんの案内で、雪の散歩へ出かけてみた。

photo: Ryoichi Kawajiri / text: Masaki Narita

スノーシューでの歩き方に慣れたら、
冬のハイキングのスタート。

クルマで札幌市内中心部から20分、地下鉄円山公園駅からは10分弱という立地の旭山記念公園。標高137.5mの展望台からは札幌の街を一望できるため、夜景スポットとしても人気が高い。ここでスノーシューハイキングをガイドしてくれるのは、「ゆっくりずむ北海道」の宮川幸史さん。金沢市生まれの宮川さんは、高校卒業後に海外を旅する中で、アメリカに滞在していた頃にネイチャーガイドを志した。養成学校に通いながらアメリカの国立公園を回って腕を磨き、20代後半からガイドの仕事をするように。帰国後に北海道へ移り、8年ほど道内を転々としたのち、2006年から札幌を拠点にさまざまな自然体験をガイドしている。

案内してくれたネイチャーガイドの宮川幸史さん。

藻岩山や円山に隣接した高台にある旭山記念公園。

今日は旭山記念公園の駐車場で待ち合わせたが、事前に相談すれば、市内中心部のホテルや地下鉄駅などへの送迎もしてくれるそう。挨拶を済ませて、用意されていたスノーシューをさっそく装着してみた。履いているスノーブーツに合わせてベルトを調節するだけなので簡単だ。「スノーブーツがおすすめですが、長靴や防水の靴でも大丈夫です」と宮川さん。革のブーツなどは痛む可能性があるので避けた方がいいとのこと。

軽くて丈夫なアルミ合金製のスノーシュー。

バインディングでスノーブーツに固定する。

スノーシューは、基本的には普通の歩き方と同じだが、左右のスノーシュー同士がぶつからないように、やや足を開き気味にするのがコツだ。最初はちょっと違和感があるが、すぐに慣れるので心配はいらない。またスノーシューの構造上、後退することは難しい。「後ろに下がりたい時は、ぐるっと回って方向転換してください」と宮川さん。歩き方をレクチャーしてもらったところで、いよいよ冬のハイキングのスタートだ。

スノーシューの浮力で新雪の上でも歩くことができる。

掲示板ではシマエナガの出現情報も発信されていた。

さまざまな要素を総合的に判断して、
その日に最適なコースを案内してくれる。

「夏場にはササが邪魔で行けないような場所にも行けるのがスノーシューの醍醐味」と話す宮川さん。今回は残念ながら札幌に大雪が降る前の取材だったのでササがまだ見えていたが、いつも1月には山に自生しているササがすべて隠れるくらいの雪が積もっているという。

取材の数日後にはこのササが隠れるほどの大雪となった。

例年であればこの大きな枝のあたりまで雪に埋まるそう。

「とはいえ、今日は風もなくてプラスの気温なので、ハイキング日和ですよ」。宮川さんは、フィールドの状況や天候、参加者のニーズやコンディションなど、さまざまなファクターを総合的に判断して、その日に最適なコースを案内してくれる。さすがはこのエリアを知りつくしたプロだ。雪が周囲の音を吸収する静けさの中で耳を澄ますと、いくつかの鳥の鳴き声が聞こえる。「この鳴き声は……シマエナガかもしれませんね」。

坂を登る時には思いきって前のめりになると歩きやすい。

声の方向を双眼鏡で探したがシマエナガの姿はなかった。

この旭山記念公園も、“雪の妖精”として大人気のシマエナガが出没するエリアなのだそう。確かに、遠くのほうから「チィチィチィ」というさえずりが聞こえてくる。こっちに来てくれないだろうか。「シマエナガは群れで行動するので、現れると観察しやすいんですけどね」。目を凝らしてあたりを見回していると、小鳥を見つけた。「あれはオオアカゲラです。キツツキの仲間ですね」と宮川さんがすかさず説明してくれた。

葉を落とした枝の向こうに青空が広がっていた。

木をつついているオオアカゲラ。

まったく知らなかった樹木の生態に、
自然の奥深さを実感するひととき。

歩きながらほかの鳥を探していた宮川さんが、樹の上にある丸い鳥の巣のようなものを指さした。「あれがヤドリギです。ほかの樹木に寄生する木です」。ヤドリギの果肉はとても粘り気が強く、食べた鳥はクチバシを樹の枝にこすりつけてそれを取ろうとする。この時、枝に付いたタネが発芽するという仕組みだ。タネを蒔くのは鳥任せで、宿主となった樹木からは水分と養分をもらう。とんでもない厚かましさだが、それも自然の摂理のひとつなのだろう。

鳥や動物だけではなく植物の生態にも詳しい宮川さん。

鳥の巣のようなヤドリギも冬の方が見つけやすい。

「寄生とはちょっと違いますけど……」と、宮川さんが落ちていた木の枝を拾って見せてくれた。「これはツルアジサイのタネです。アジサイの仲間ですが、ツルがほかの木の幹を這うようにしてよじ登る性質があります」。時に高さ10m以上にまで登り、幹が見えなくなるほど覆いつくして、アジサイに似た花を咲かせるという。「雪が溶けるとこのタネが別の場所に流されて、同時にその水分で芽を出すんです」。

ツルアジサイは冬になるとたくさんのタネがついた枝を落とす。

からみついて伸びたツルがまるでハンモックのよう。

宮川さんに続いて、雪が深いところを歩いてみた。スノーシューの裏側には金属製の爪がついていて、雪面をグリップできるようになっている。それでも、雪が深いところでは爪が埋まって滑り、転んでしまうことがある(実際に2回転んだ)。ところが、そんな状況で転んでも、雪がクッションになって痛くはない。「むしろ、ふかふかの雪のベッドに寝転んだような心地よさがあるモンだから、雪が珍しいアジア圏のゲストは、自分から何度も雪に埋まりに行くんですよ」と宮川さん。

ササに足を取られないように注意しながら進む。

公園内を流れる小川も凍りついていた。

スノーシューで豊かな冬の自然を満喫したあとは、
おいしいグルメで満足できるのが札幌の魅力!

最後は展望広場に立ち寄って、札幌の街並みを見渡してみた。よく晴れていたので、なんと北広島市にあるエスコンフィールドの屋根まで見える。約2時間30分の体験コースはあっという間だった。残念ながらシマエナガや、エゾリスなどの野生動物は発見できなかったが、北海道の樹木についてずいぶん詳しくなれた。一人で歩いていたら絶対にスルーしていたようなところに、こんなに多くの気づきがあるとは思わなかった。今までにない視点を教えてくれるのも、ガイドツアーならではの楽しさだ。

展望広場からは札幌市街のパノラマが一望できる。

休憩スペースやトイレがある「森の家」は通年利用可能。

宮川さんに旭山記念公園の魅力を聞いてみると、「200万都市の中心部から車で20分以内に、こんなに自然が豊かな場所があるのは、世界的に見ても珍しいですね」。ガイドをする上で最も気を配っているのは、やはり安全。あとは一緒に歩きながら、ゲストのやりたいことを実現していく。「あれこれ考えずに、ここでの時間と空間をまるごと味わってほしい」と宮川さん。ガイドとともに歩くスノ—シューハイキングは、札幌の大自然を冬ならではの視点で味わうことができる。特別な時間が約束されているこのツアーをぜひ体験してほしい。

都市の中の自然に身を置いて雰囲気を味わいたい。

公園や山のすぐ近くに住宅地が広がるのも札幌の特徴。

INFORMATION

ゆっくりずむ北海道
所在地:札幌市中央区北2条西2丁目15 STV北2条ビル1F
MAIL:info@yukkureism.com
@yukkureism_hokkaido
 
初心者歓迎!プライベートの森で遊ぶ
スノーシュー入門コース(ガイド同行)

開催期間:12月中旬~3月中旬
集合時間:9:00〜、13:00〜
所要時間:2~3時間(移動・準備含む)
基本料金:大人1人13,200円、小人1人12,100円
料金に含まれるもの:ガイド代、スノーシューレンタル代、傷害保険料、ドリンク付き
最少催行人数:2人
※好みに合わせて、その他オーダーメイドのプランを作る事も可能です。

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