定山渓めぐり
2023.09.28

札幌・定山渓温泉で自家焙煎するサードウエーブコーヒーの店、「ゼネラル コーヒー ストア」

札幌市内中心部から車で約50分。定山渓(じょうざんけい)温泉街の入口に位置する〈ZENERAL COFEE STORE〉。2023年3月にオープンし、自家焙煎コーヒーをハンドドリップで提供する。店内に一歩入れば、そこは温泉街のイメージとはほど遠いアメリカンな空間。一体なぜ、定山渓温泉で自家焙煎コーヒーを? オーナーの斉藤幸浩さんに話を聞いた。

photo: Yoshitaka Morisawa / text: Tamaki Sugaya

焙煎士は元プロバスケットボール選手

駐車場に車を停めると、店に入る前からコーヒー豆を焙煎する香りに包まれる。ヴィンテージアメリカン家具を配した店内の一角にはロースタリーがあり、煙の向こうに長身の男性が見えた。焙煎を担当する牧全さんだ。牧さんは、昨年までプロバスケットボールチーム〈レバンガ北海道〉の選手として活躍。引退後に〈ZENERAL COFFEE STORE〉でコーヒーの焙煎士として第二のキャリアをスタートさせた。プロバスケットボール選手からコーヒー焙煎士。異例の転身は、同店オーナーの斉藤さんとの出会いがきっかけだった。

店内のロースタリーでコーヒーを焙煎する牧全さん。焙煎機はFUJIROYAL社製。

カウンターではスタッフが注文を受けてからハンドドリップ。コーヒーが落ちるのを待つ時間に、漂う香りも堪能したい。

そもそも斉藤さんは、旭川市でヴィンテージアメリカンの家具や雑貨、古着などを扱うショップ〈ネオカプセル〉や、札幌の中島公園エリアでサンタクルーズから輸入したコーヒー豆を扱う〈スムーチ コーヒー スタンド〉を経営。業界内では、斉藤さんの名を知らない人がいないほどの腕利きだ。20歳でアメリカ・カリフォルニア州に渡り、大学卒業後は現地の企業に就職。日本向けに雑貨や古着のバイヤーとしても活躍した。

帰国後に、地元の旭川で〈ネオカプセル〉をオープン。「僕がアメリカにいた頃、現地ではサードウエーブコーヒーがブームで、そのおいしさが印象に残っていた」と斉藤さん。店のお客さんにサービスとして出していたサンタクルーズのコーヒーが好評で、本格的に輸入を開始。10年前には札幌に進出し、〈スムーチ コーヒー スタンド〉をオープンさせた。

そこで知人を介して出会ったのが、現役のプロバスケットボール選手、牧さんだった。愛知県で育ち、高校、大学時代をカリフォルニア州で過ごした牧さん。「年代は違いますが、カリフォルニアで同じ大学に通っていたという共通点があって、なんとなく波長が合ったんです」と斉藤さんは振り返る。

「北海道ブランド」のコーヒーを。2人の思いが繋がった

斉藤さんのコーヒースタンドは、中島公園エリアという土地柄も手伝い、地元客はもちろん道外からの観光客やインバウンド客にも人気を博した。とりわけ、海外から来る若い世代に好評で、「いつか北海道ブランドのコーヒーを提供したい」という思いが斉藤さんの中で湧き上がる。道内随一の国際的リゾート地、ニセコでの出店も考えたが、地元客にも楽しんでもらうには、ニセコは遠すぎる。そこで白羽の矢を立てたのが、札幌の奥座敷・定山渓温泉だった。「ここならインバウンドも地元客もターゲットにできる」と、斉藤さんはにらんだ。

一方、札幌を拠点とするB.リーグ〈レバンガ北海道〉の人気選手として活躍していた牧さん。実家は自家焙煎コーヒーを提供する喫茶店で、子どもの頃から父親の仕事を手伝い、小学生の頃にはすでにコーヒーを愛飲していたという。「父のコーヒーの味を残したいという気持ちはずっとありました」と牧さん。斉藤さんとの出会いがあり、2022年シーズンで現役を引退した後は迷わず焙煎士の道を選んだ。こうしてカリフォルニアで青春時代を過ごした2人が、定山渓温泉街で「北海道ブランド」のコーヒーをつくろうと、〈ZENERAL COFFEE STORE〉をオープンさせた。

スワッグを吊す窓辺の席。窓の外には四季折々に変化する定山渓の自然も。

ヴィンテージアメリカンの家具に囲まれた店内はカリフォルニアの雰囲気満点。アパレルやアート、雑貨も販売する。

コーヒーだけでなく、アパレルや雑貨を買えるのも、この店の魅力。アメリカから仕入れるヴィンテージ雑貨は、一点物が多く、気になったら即買いするのがおすすめ。

アパレルブランド〈モラスク〉のアイテムも季節ごとに揃っている。またポートランド在住アーティストの作品を旭川家具のフレームに入れて販売する。

理想の味にたどり着くまで、“TRYOUT”は続く

焙煎機が届いたのは、今年5月。それから牧さんと斉藤さんを中心に、理想のコーヒーを求めて挑戦が続く。「これぞ」という定番にたどり着くまで、「TRYOUT(トライアウト)」の名で、9月までに8種類を焙煎。「僕たちが飲んでみてピンとこなかったり、お客さんの反応がイマイチな場合は、戦力外の永久欠番になります」と斉藤さん。「すでにNo2が消えていきました」と牧さんも言葉を継ぐ。

「Hand dripped coffee」は1杯600円〜。系列店から届く「スムーチ・クッキー」は大きな手のひらサイズで1枚450円。コーヒーのお供に

オリジナルマグカップは1個2800円。〈Smooch coffee Stand〉のオリジナルカップは1個2200円。

オリジナル焙煎コーヒー「TRYOUT」は、100g600円〜。中島公園エリアにある〈スムーチ コーヒースタンド〉でも販売。

コーヒーは注文が入ってから豆を挽き、1杯ずつペーパーでハンドドリップ。サードウエーブコーヒーの手法を用いている。サードウエーブといえば、「浅煎り」と定義される場合も多いが、斉藤さんと牧さんの共通の好みは、「深煎り」だ。「父も深煎りが好きだったので、その味を受け継げたら」と牧さん。「雪深い定山渓の地で、どんなコーヒーを生み出せるのか、これから迎える初めての冬を楽しみにしています」とも。斉藤さんと共に、理想の味にたどり着くまで、トライアウトは続く。

焙煎を担当する牧さん。「定山渓は自然が豊かで、秋は紅葉が美しく、冬は近隣のゲレンデでスキーやスノーボードが楽しめます。ぜひ帰りに立ち寄って、コーヒーを飲んでいってください」。

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